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生成AIのガイドラインはこう決まる!政府のAI戦略について解説

AIロボットの手と人間の手がキーボードでタイピングしている様子、AIと人間の技術の協力を象徴する画像

2022年11月に公開されたチャットGPTを筆頭に、多くの企業や研究機関が競うように生成AIの開発を行っています。
しかしAIの開発推進は民間だけで行われているのではなく、政府も研究に加わっています。
日本の場合、今回解説するAI戦略によって政府は研究を進めてきました。

今までの日本のAI戦略について

生成AIでより身近にAIを感じられるようになりましたが、戦略はいつ頃から立てられ始めたのでしょうか。

2016年の戦略

日本政府によるAI戦略が始動したきっかけは、2016年4月です。
 

①人工知能技術戦略会議

「未来投資に向けた官民対話」における総理の指示があったのを受け、「人工知能技術戦略会議」が創設されました。
この会議が創設されたことで政府は、総務省、文部科学省、経済産業省がそれぞれ所轄する5つの国立研究開発法人と共に、AI技術の社会実装を推進することになりました。
 
その中でも3つの国立研究開発法人が中心となって、AI技術の研究が進みました。
一つは、総務省所轄の情報通信研究機構(NICT,本部は東京都小金井市)の組織内部にある脳情報通信融合研究センターとユニバーサルコミュニケーション研究所で行われました。
また、文科省所轄の理化学研究所(理研、本部は埼玉県和光市)にある革新知能統合研究センター、産業技術総合研究所(AIST, 本部は茨城県つくば市)内にある人工知能研究センターで行われました。
 
NICTでは自然言語処理や多言語音声翻訳、理研では少ない情報量から高精度学習を成し遂げるアルゴリズムの研究、AISTではNICTと理研の研究データを基にした産業分野に応用するAI技術の研究が実施されました。
 
中心的な役割を担うのは上記の3機関ですが、先述の通り研究に加わる機関は数多くあり、厚労省、農水省、国交省など出口産業を所轄する省でもAI戦略に則ったプロジェクトが2016年に開始しました。
 

②2016年のロードマップ

AI戦略が初めて開始された2016年時点で、AIが産業にもたらす効果を信じ産業化ロードマップが制定されました。
産業化ロードマップでは重点分野として、「生産性」「健康、医療、介護」「空間の移動」「情報セキュリティ」の4つが指定されました。
このうちの「情報セキュリティ」は横断的な分野として、前者の3分野のセキュリティを保護する役割を担います。
 
また、AI進展のフェーズを3段階に分けました。
フェーズ1では「各分野でデータ駆動型のAI利用」、フェーズ2では「個別でもAIの利用」、フェーズ3では「各分野同士が複合的にエコシステムを構築」という目標が制定されました。
フェーズ1から2への推移は2020年、フェーズ2から3への推移は2025~2030年を想定していますが、現段階ではこの目標は達成されていないと思います。
 
評価する基準にもよりますが、総務省が発表した令和元年の情報通信白書を基にするならば、フェーズ2への移行は目標時期(2020年)に完了していないと考えられます。

2019年時点で、米国やフランス、ドイツ、スイスといった経済水準が同レベルの国と比較をしても、産業分野でのAI利用が日本では進んでいない上、2016年の戦略で設定されたフェーズ1の状況も2019年時点では実現しているとは言えなかったからです。

参考資料 :第2節デジタル経済を支えるICTの動向

③分野ごとの目標

先述した「生産性」「健康、医療、介護」「空間の移動」「情報セキュリティ」の具体的な目標を見ていきましょう。
「生産性」では、生産システムの自動化や最適化をAIによって実現して、生産物の無駄がないエコシステムの構築を目指します。
 
「健康、医療、介護」では、高齢化で医療人材と労働力の不足、社会保障費の増大がが懸念される日本で、これらの問題を可能な限り軽減するための医療システム構築を目指します。
 
「空間の移動」では、人々の日常のあらゆる移動時間を、ただの移動時間ではなく、作業、生活、娯楽などを行う空間として構築することを目指します。
これらの戦略を通じて、自動運転や自動配送、バーチャル移動を実現し、人的要因による交通事故を2030年までにゼロにすることを目標としています。
 
他の分野の安全性を維持すべく、「情報セキュリティ」分野の推進を行います。
信頼性や安全性を重視するのはもちろん、技術の秘匿性も保持しながら開発を行います。
 

2019年のAI戦略

WebDesignNovaが画像のSEOに利用するAI技術を用いたウェブデザインの画像

2019年6月11日、政府は3年ぶりに新しいAI戦略を策定します。
「人間中心のAI社会原則」を取りまとめた後に策定された本戦略は、AI人材育成を重要視し、誰でもAIを利用し活用するための目標などが定められました。
 

①教育改革

2019年のAI戦略においてまず解説すべきことが教育改革でしょう。
大目標をいくつか挙げるならば、第一に、数理・データサイエンス・AI」に関する知識を全国民が育み、社会の様々な分野で人材が活躍すること、また世界で活躍できる人材を育成し、留学生が日本でデータサイエンスやAIを学ぶ機会を促進することも定められています。
 
2019年のAI戦略を通じて、特に高等学校での教育改革が進んでいます。
2022年度から「情報I」が必修化され、それを踏まえたITパスポート試験の問題見直し、AIの基礎となる実習授業の実施、ICTに精通した人材の教育現場での登用も進行しています。
またICT機器や高速なインターネット環境を整える事業も行われています。
 
高校と足並みをそろえるように、大学でも改革がいくつか行われています。
2022年度から「情報I」が必修されたことで、2024年度の大学共通テストからは同科目を出題することが決定しています。
また大学入試や就職のエントリーシートには、理数やAIに関する学習成果を記載できるような取り組みが進んでおり、今後これらの分野で目立つ成果を持つ学生は、進学や就職に有利となるかもしれませんね。
 

②エキスパート教育

人材育成が行われるのは学校だけではありません。
大学院生や博士号取得者には、データサイエンス等の教育プログラムを実施することで、国際的に通用する専門家の育成とイノベーションの創出を目指します。
 
専門家の育成には、諸外国や他の大学、企業との連携が欠かせません。
そこで、大学と民間団体主催コンテストの連携や、研究者の海外挑戦機会の拡充、国際的な学会の積極的誘致を目指しています。
 
また、外国との連携時に欠かせない言語習得を目指し、英語対応力の向上も支援します。
 

③海外と連携した研究開発体制の構築

GAFA、BATHのような企業群があるように、今の世界のネットビジネスは米中の企業が牽引しているといっても過言ではありません。
そのような熾烈なネットビジネスの中でも、今特に熱い分野と言えるのがAIの開発でしょう。
AIの開発では、開発人材の争奪戦が世界的に巻き起こっており、研究を進めるのは容易なことではありません。
 
また日本は、経済規模の相対的な低下や、情報工学に関する基礎が遅れていることもあり、今や日本単独で研究開発を行うことは非常に困難なこととなりました。
しかしながら、日本国内の研究力を高める余地はまだ残っているとも考えられており、そのヒントが「研究センターの横断的活動」にあります。
 
日本国内では中小の研究センターが優れた研究成果を上げてきた歴史があるものの、研究所間での協力はあまり見られませんでした。
そこで、今まで以上に研究所間での協力体制を緊密に立ち上げることができれば、海外の研究に依存することなく、研究体制の再構築を行うことを期待できます。

関連:もう迷わない!オンラインビジネスの始め方を徹底解説

④社会実装

日本政府は2019年のAI戦略で、AI技術が「多様性を内包した持続可能な社会」の実現に貢献することを重要視しており、この姿勢は今も変わりありません。
AI技術を社会の貢献に利用する手段は様々ですが、このAI戦略ではその手段に「産業競争力の強化」を上げています。
なぜなら、日本企業の産業領域内での存在感が非常の大きいからです。
産業領域内でAI技術を応用すれば、日本が持つ優位性を遺憾なく発揮でき、日本がAI開発で主導権を握ることだって可能です。
 
数ある産業領域の中でも、優先的に実装すべき領域として「健康・医療・介護」「農業」「国土強靭化」「交通インフラ・物流」「地方創生」の5つを挙げています。
皆さんもご想像いただけるように、これらはどれも日本が直面している問題であり、日本にしか解決できない(解決の場が無い)問題もあります。
 
健康・医療・介護分野では、今後増大する医療需要に余裕もって対応するためのAI活用を模索しており、AIを活用した医療機器整備、創薬、画像診断、健康データ生成などを計画しております。
 
農業分野では、中山間地域を含めた多くの地域でスマート農場技術を導入、農業分野での人材育成を目指しています。
生産から出荷までの全過程や、病害虫や気候から作物を守る際にもAIを活用します。
そして人材育成では、農研機構や民間企業とも協力し、幅広い人材登用やより多くの育成を目指します。
 
国土強靭化においては、AIを活用した国土保全を進めていきます。
日本国内の現在のインフラは、高度経済成長期に建設されたものが多く、今後一気に老朽化が進行します。しかし人材不足が重なり、思うように改修工事できない懸念もあります。
そこでロボットやセンサー開発による工事負担の軽減や、老朽化診断を実現します。
また国土保全を脅かす自然災害にも対応すべく、SNS情報の利用や自然災害発生の予兆察知をAIを利用してより高精度で行なっていきます。
 
交通インフラ・物流では、移動時の負担低減を大きな目標としています。
人的要因による交通事故をゼロに抑えて、移動時に人が抱える負担の最小化、物流網の生産性向上を、AIの活用で実現します。
2024年問題に代表されるように、日本の交通インフラは今大きな苦境の立たされています。
自動運転を始め、AIの力でどれだけの課題を打破できるかが期待されています。
 
そして地方創生でのAI活用です。
スマートシティという言葉をご存じの方もいると思いますが、AIの活用で目指す都市の形がまさしくこれです。
少子高齢化で今後日本では、人口が減少する都市が大半を占めますが、その局面でもコンパクトで無駄の無い、住民の負担が低いまちづくりを、AIの力で実現します。
 
また地方創生で恩恵を受けるのは地域住民だけではありません。
SNSやWebサイトをAIが分析することで人気ある潜在的な観光スポットを発掘し、国内外の旅行者へと新たな発信が可能だからです。
 

2019年 AI戦略の特徴

2019年のAI戦略の特徴は、2016年の戦略をより実用化しようとする動きが鮮明になっていることです。
この背景には、2019年までの3年間でAIがより身近になったことや、国内問題を対処する上でAIの必要性や、海外とのAI開発に差があるという危機感などが政府や財界でも共有されだしたのではないかと思います。
 
参考資料:AI戦略 2019 ~人・産業・地域・政府全てにAI~
 

2022年のAI戦略

機械学習、ニューラルネットワーク、ロボティクスなど、様々な人工知能技術を示すベクターイラストの画像

2022年4月22日、「AI戦略2022」が発表されました。
「人間尊重」「多様性」「持続可能」の3つの理念を掲げ、SDGsに貢献することを目標としています。
2022年の戦略は、2019年に策定された戦略が土台にありながら、「差し迫った危機への対処」という戦略目標が追加されました。
 
以前は人材、産業競争力、技術体系、国際の4つが戦略目標でしたが、2022年にこのような目標が追加された理由は言うまでもないと思います。
2019年の後、3年間にわたって続いたパンデミックや、増大する気候変動、情勢不安といった地球規模の問題を対処するために、AIを利用する戦略が定められたのです。

AIの未来動向と挑戦

このセクションでは、AI技術の未来の発展方向とそれに伴うグローバルな挑戦に焦点を当てます。

① 持続可能な開発へのAIの応用

AIは地球規模の環境問題に対する解決策として注目されています。これには、気候変動の予測、資源の効率的利用、エネルギー消費の最適化などが含まれます。例えば、AIを活用した気候モデリングは、気候変動のより正確な予測を可能にし、災害対策や資源管理に革命をもたらす可能性があります。また、AIによるスマートグリッドの管理は、エネルギー消費を効率化し、持続可能なエネルギーシステムへの移行を加速させることができます。

② AI倫理と規制の動向

AI技術の急速な発展に伴い、倫理的、法的な側面が重要な検討事項となっています。プライバシー保護、個人データのセキュリティ、透明な意思決定プロセスの保証が中心的な懸念事項です。また、AIの偏見や差別を排除し、公正な意思決定を支援するためのガイドラインの策定も進められています。これらの課題に対する国際的な規範や法規制の構築が、今後のAIの健全な発展を支える鍵となります。

③ 新たな応用分野の探求

AI技術は、ヘルスケア、教育、製造業などの分野で新しい応用を見出しています。ヘルスケアにおいては、AIが診断支援、個別化医療、新薬開発などに貢献しています。教育分野では、パーソナライズされた学習経験の提供や、学習効率の向上にAIが用いられています。製造業では、AIが生産プロセスの最適化、品質管理、効率的なサプライチェーン管理に革命をもたらしています。これらの進展は、産業の効率化とイノベーションを推進するとともに、新たなビジネスモデルの創出を促進しています。

④ 国際市場における競争と戦略

グローバルなAI市場での競争は、ますます激化しています。研究開発、技術革新、国際協力の拡大は、この競争において重要な要素です。特に、国際協力は、新興技術の共同開発、グローバルなスタンダードの確立、および国際的な知識共有において重要な役割を果たします。また、資金調達や人材育成の強化は、国際競争における地位の確立に不可欠です。

SEOとAI

先述の通り、2022年ごろから生成AIが数多く登場して、AIの存在を身近に感じられることが多くなったと思います。
AIが登場したことで、SEOにも大きな影響が及ぶでしょう。

それは生成AIがウェブコンテンツを生成する能力を有するからで、我々人間は生成AIとのサイト競合を行う必要に迫られるかもしれません。
一方で生成AIは、文章の正確さには疑う余地がなく、より効果的なコンテンツにするための改善、助言をしてくれることも間違いありません。

生成AIの登場でSEO対策にも大きな変化がありますが、これは期待と懸念の両方があるでしょう。

関連:SEO誰でもできるの?SEOの基礎知識からSEOエージェントの活用

思い込みの改善

 
2022年のAI戦略では、「AIに対する思い込みを捨てることが大切だ」と主張されています。
多くの方がご存じだと思いますが、AIには多くの期待が寄せられている反面、それと同じくらいの懸念もされています。
 

まとめ

2023年のAI技術のトレンドをグラフィックと人物と共に描いた画像

懸念あるというのは間違いありませんが、中には「AIが人の仕事を奪い人を困らせる」「技術者にしかAIを理解できない」といった極端で不正確な思い込みも存在します。
情報工学が難しく、AIが人の労働力を補完するのも事実ですが、このような思い込みはAIの発展を妨げうるもので、改善していくことが必要だと思います。
 
2022年ごろから数多くの生成AIが開発されましたが、生成AIに対する見解は国によて大きく異なります。
G7内を見ても、オープンAIのサム・アルトマン氏と首相が面会し、AIへの開発に力を入れる日本があるかと思えば、チャットGPTの一時的な使用禁止を決定したイタリアなど、見解や扱いは非常に千差万別です。
 
AIのメリットやデメリットには未だ不透明な点が多い以上、それぞれの国が取る見解や扱いには今のところ正解不正解を決めることが難しいと思います。
しかしながら私たちが一つ注意すべきことは、正しい考え方を持ってAIを扱うことで、それが民意として政治に反映されればより良いはずです。
そのためには、技術者や専門家だけでなく、AIには直接的に関わっていない私たちも、AIについての考えを持つ必要があるのです。

よくある質問

AIの倫理的問題と規制に関して、どのような進展が見られますか?

AIの倫理と規制に関しては、国際的にも様々な動きがあります。EUでは、AIに関する倫理ガイドラインが設定され、AIの透明性、公正性、プライバシー保護の重要性が強調されています。日本でも、AI技術の使用における倫理基準の策定が進められており、特に個人のプライバシー保護やデータのセキュリティに重点を置いています。さらに、AIによる意思決定の透明性を確保し、AIの判断に偏りがないようにするための取り組みも進んでいます。

AI技術の進化がマーケティング戦略にどのような影響を与えているか、具体的な例を挙げて解説してください。

AI技術はマーケティングの世界を劇的に変えています。例えば、消費者行動の分析と予測がAIにより格段に精度を増しており、これによりターゲット広告の効果が高まっています。また、AIによるチャットボットの導入は顧客サービスを革新し、24時間体制での迅速な対応が可能になりました。さらに、コンテンツの個別化やパーソナライズが容易になり、消費者一人ひとりに合わせたマーケティング戦略が展開できるようになっています。

2023年にSEO分野でAIがどのように活用され、どのようなトレンドが見られますか?

2023年のSEO分野では、AIの活用が大きなトレンドとなっています。特に、コンテンツ作成において、AIはユーザーの関心や検索意図に基づいた高品質なコンテンツの自動生成を支援しています。これにより、SEO対策とユーザーエンゲージメントの向上が図られています。さらに、AIはウェブサイトの分析にも欠かせないツールとなり、訪問者の行動パターン、サイトのパフォーマンス、そして改善点の特定に役立っています。

また、AIを用いたウェブサイトのユーザビリティ向上や検索ランキングの最適化も、2023年のSEO戦略において重要な役割を果たしています。これらの進展により、SEOはよりデータ駆動型で効果的なものになっており、企業のオンラインプレゼンス強化に大きく貢献しています。

エディター

Eri Pinar による – ウェブ開発、マーケティング、オンライン、SEO。副著者 – Miura & Shimura。


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