今や多くのビジネスで必要不可欠なサービスになりつつあるSaaS。
SaaSは「Software as a Service」の略で、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことを指します。
SaaSの代表例としては、ZoomやGoogle Meet、Microsoft TeamsなどのWEB会議ツールや、freeeやマネーフォワードクラウドなどの会計ソフトが挙げられます。
それでは、この記事でSaaSの詳細についてさらに探求していきましょう!
SaaSとは?
SaaSとは「Software as a Service」の略称で、「サース」もしくは「サーズ」と言います。クラウドサービスの種類の一つです。
日本語訳では「サービスとしてのソフトウェア」と言いますが、その名の通りソフトウェア機能を、インターネットを介して誰かに提供する際に必要なクラウドサービスです。
「SaaSを聞いたことなくても利用している」と申し上げたのはそのためで、SaaSのサービスはメールやウェブ会議、会計ソフトなど多岐に渡ります。
他のクラウドサービスとの違い
クラウドサービスにはいくつかの種類があります。
それぞれ代表例とともに、概要を見ていきましょう。
①PaaS
「Platform as a Service」の略称で、「パース」と読みます。
データベースやアプリケーションサーバーなど、アプリケーション用のプラットフォーム機能をインターネット上のサービスとして提供するものです。
②IaaS
「Infrastructure as a Service」の略称で、「イアース」と読みます。
これは、ITインフラをネット上のサービスとして提供する際に必要です。
ITインフラの代表例には、システム開発やソフトウェアの稼働に必要なサーバーやディスク、ネットワークなどがあります。
③SaaS
そして、ソフトウェアのサービス提供をするのに必要なクラウドサービスが、このSaaSです。
このように、それぞれのクラウドサービスの違いや役割を把握しておけば、何が何なのか少しは理解いただけるかと思います。
SaaSにはどのようなメリットがあるのか?
①初期費用を安く抑えられる
SaaSの大きな特徴に、初期費用を安く抑えられるということがあります。
初期費用が安い主な要因は、サブスクリプション制での支払いを求めるサービスが多いからです。
そのため、急成長している企業や、従業員の入れ替わりや増減が激しい企業でも、その時の規模に応じたサービスの利用をその都度見直すことができるのです。
②管理が容易である
初期費用が安いだけでなく、その後の管理が容易である点でも、SaaSは優れています。
SaaSの管理は、SIベンダー(ソフトウェアやシステムの運用や開発をする企業)が行なってくれるため、SaaSを導入した企業が自社内で専門的な人材を配置する必要は無く、結果的にどのような企業でもSaaSの管理は非常に容易だと言えるでしょう。
③最新機能の実装が簡単
SaaSは最新機能の実装が簡単です。
クラウドサービスの最新機能を自ら実装することは、やはり難易度が高い作業と作業と言えます。しかしながらSaaSでは、先述の通りクラウド管理をSIベンダーが行うため、最新機能を簡単にすぐ利用し続けることが可能です。
④どこからでもアクセス可能
インターネットがあればどこからでもアクセスできるのが、SaaSの強みです。
ご想像いただけるようにこのメリットは、外出先や在宅勤務の際に実感いただけると思います。
SaaSでは、特定のデバイスではなくアカウントに対して利用権限が与えられるため、アカウント情報を保持していれば、パソコンやスマホ、タブレットなどでもソフトウェアの利用が可能です。
⑤同時編集が可能
こちらは、職場でも在宅勤務の際も仕事効率が上がる機能だと思います。
SaaSでは、同時に複数のユーザーによるファイル編集や閲覧を問題なく行えます。
また編集が完了したファイルも、同一のクラウド上で保存されているため、すぐに最新のバージョンのファイルを閲覧可能です。
SaaSの利用時に注意すべきこと
SaaS(Software as a Service)は、多くの利点を提供する一方で、いくつかの懸念点も存在します。以下は、SaaSを利用する際に留意すべき主要なポイントです。
①カスタマイズ可能な範囲が狭い
SaaSは、管理がしやすく誰でも利用できる反面、カスタマイズ可能な範囲が狭い難点があります。
そのため、自社の業務内容を、提供されたSaaSの形態に極力合わせる努力が必要になるでしょう。
②障害時に利用制限の可能性も
SaaSは構造上、通信回線やシステム障害が発生した際に、その影響を受けやすくなっています。
通信回線やシステム障害などの外部による影響は、インストール型のソフトウェアであれば考えられないため、SaaSの弱点とも言えるでしょう。
③セキュリティに細心の注意を
通信回線との密接な関係があるため、セキュリティ対策にも細心の注意を払いましょう。
SaaSを介して様々な社内情報が行き渡ることでしょうから、SaaS内部はもちろん社員や従業員の間でも、セキュリティに関する認識を共有しておく必要がありますね。
しかしながら近年では、SaaSへの不正アクセスを対処しようと、多くのIT企業で不正検出ツールの開発が進んでいます。
このようなツールを利用すれば、SaaSへのセキュリティ対策に繋がるだけでなく、今まで見落としていたリスクを検知できるきっかけにも繋がるかもしれません。
④サービスが突然終了になる可能性が
先述の通り、SaaSには月額制や年額制での料金支払いとなるサービスが少なくありません。
買い切りでは無いため、利用元のサービスが利用終了となると突然利用できなくなる可能性があります。
サービスに継続性があるかどうかを見極めるのは難しいですが、少なくとも利用するサービスの選択は慎重に行う必要がありますね。
後悔しないSaaSの選び方
SaaSには様々なサービスがありますが、以上のデメリットを踏まえると、サービスの機能や特徴を踏まえて入念に選択したいもの。
ここからは、SaaSを選ぶ際に見るべきポイントを、段階ごとに解説します。
①コスト
様々なサービスがある分、費用もピンキリです。
当然、費用が高いほど様々な機能を利用できるようになりますが、企業の規模によっては不必要に大きいサービスを購入してしまった、なんてことも考えられます。
自社の予算や規模に合わせながら、適切なサービスを選択しましょう。
②機能
機能面では、多さや少なさだけでなく、どのような機能があるかを見てみましょう。
例えば、業務効率化の一環でSaaSを導入する場合は他のシステムと互換性があるサービスを選ぶべきですし、従業員の入れ替わりが激しい企業であれば社内研修の手間を取らない簡素化されたサービスに注目すべきでしょう。
コストももちろん重視すべきですが、それ以上に自社が求める機能があるかを探っていきましょう。
③サポート体制
先ほど「SaaSは管理が容易である」と申し上げましたが、これは盤石なサポート体制があって実現していることです。
自社内にSaaSに詳しい人材がいない企業ほど、そのサービスのサポート体制の充実さに注目する必要がありますね。
④導入実績
可能であれば、そのSaaSの導入実績についても把握しておきましょう。
導入実績を把握できる方が、そのサービスを買う判断をしやすいですし、またその中に自社と同じ業種があるかどうかも重要な情報です。
また導入実績があるのは、サービスをバックアップする体制が整っている裏付けでもあります。継続性がより高いサービスを選ぶためにも、導入実績を見ることは重要です。
自分でSaaSビジネスを始めたい場合は? <SaaSビジネスへの短いステップ>
SaaS事業を開始する際のステップと、それぞれのステップにおけるポイントを解説します。
ビジネスアイディアの明確化
まずは、提供したいSaaS製品のコンセプトやターゲットとなる顧客層を明確に定義します。市場のニーズや競合との差別化ポイントを理解することが重要です。
プロトタイプの開発
アイディアを具体化するために、初期のプロトタイプやMVP(Minimum Viable Product)を開発します。これにより、製品の方向性を固めるだけでなく、早期のフィードバックを取得することができます。
マーケティングと販売戦略の策定
SaaS製品を効果的に市場に展開するための戦略を考えます。SEO、コンテンツマーケティング、PPC広告など、適切な手法を選択し、計画的に実行していく必要があります。
顧客サポート体制の整備
SaaSビジネスにおいて、顧客サポートは極めて重要です。製品の使用方法やトラブルシューティングに関するサポート体制をしっかりと整えることで、顧客のロイヤルティを高めることができます。
定期的なアップデートとフィードバックの収集
市場の動向や顧客の要望に応じて、製品のアップデートを定期的に行うことが重要です。また、顧客からのフィードバックを収集し、製品の改善に役立てることで、長期的な成功を目指すことができます。
また読む:レスポンシブデザインとは?基本や作り方を見ていきます!
SaaSの代表例を分野ごとに解説【チャット】
①Slack
スラックは、米国で開発されたビジネスチャットツールです。
スラックの1番の特徴は、チャットツール以外の機能が充実していることにあります。
ビデオ通話機能やメモ機能、ファイル管理機能など、ビジネスや業務効率化を後押しする機能がスラック一つに揃っているので、複数人数での業務にも非常に役立ちます。
②LINE WORKS
日常生活のチャットツールとして使われている「LINE」のビジネス版です。
通常のLINEで業務連絡を完結できるという方もいると思いますが、LINE WORKSを利用することでより迅速に業務関連の連絡を回せるようになるでしょう。
トークの他に、掲示板やアンケート、アドレス帳、カレンダー、設備予約など、通常のLINEには無い機能が盛りだくさんです。
手慣れた操作感でビジネスの連絡もできることは、大きな魅力ではないでしょうか。
SaaSの代表例を分野ごとに解説【WEB会議】
SaaSはさまざまな分野で様々なサービスを提供しています。特にチャットツールの分野では、以下のような代表的なサービスが人気を博しています。
①Zoom
新型コロナの流行時にZoomを利用した方が少なくないでしょう。
今でも数多くのビジネスシーンで利用されているZoomは、SaaSの代表例の一つです。
②Google Meet
Googleが提供するビデオ会議ツールです。
このサービスの強みは、他のGoogleツールとの連携可能なことです。
様々なサービスを展開しているGoogleだからこそ実現可能な連携体系ですが、カレンダーやGmailをビデオ会議と連携できるのは、業務効率化に大きく貢献するでしょう。
③Microsoft Teams
一方でこちらは、Microsoftが提供するビデオ会議ツールです。
Teamsでは、Microsoftが提供するWord ,Excel,Power PointなどのOfficeと連携可能です。
Googleのツール同様、Officeもあらゆるビジネスで利用される機能ですから、便利であるのは言うまでもありません。
SaaSの代表例を分野ごとに解説【電子契約】
近年、電子契約ツールは、ビジネスプロセスの効率化や紙の削減を目的として多くの企業で導入されています。以下は、この分野で広く知られているサービスの一つを解説します。
①クラウドサイン
弁護士ドットコムが提供する電子契約ツールです。国内シェアNO.1、250万社以上の利用実績があるので、ご存じの方も多いかと思います。
クラウドサインが評価されている理由は、低いコストで機密情報の保持を実現できることはもちろん、法律のプロである弁護士を数多く有する弁護士ドットコムが開発した、ということもあります。
SaaSの代表例を分野ごとに解説【会計ソフト】
ビジネスにおける会計業務は複雑で時間がかかるものですが、SaaS会計ソフトを導入することで、これを大幅に効率化することが可能となります。また以下に、この分野で人気の高い二つのサービスを紹介します。
①freee
フリーランスから法人まで、あらゆる事業主に選ばれている会計ソフトです。
freeeが高いシェアを獲得している要因は、このソフトの手軽さにあります。
日常の支出をソフトに入力するだけで会計処理ができてしまうのです。
会計と言えば知識が無いとできない、そんな印象を持たれますが、このソフトを利用する上で専門知識は一切不要です。
そしてクラウド上で領収書を管理できるため、書類の管理に手間取られることもありません。
②マネーフォワードクラウド
マネーフォワードクラウドも、日本で高シェアを誇る会計ソフトの一つです。
マネーフォワードクラウドは、簿記や会計の知識が無いと利用が難しいですが、freeeよりも料金が低水準です。
そのため、知識はあるから料金を抑えたいという方に、マネーフォワードクラウドをおすすめします。
まとめ
本記事では、SaaSの特徴や代表例を解説しました。
記事を読む前は「SaaSってなに?」と感じていた方も、読んでみたら自分の周りにSaaSのサービスが多いことに気づいたと思います。
SaaSには様々なサービスがありますが、どれも今のビジネスで必要不可欠な機能ばかりです。
自社の業務効率を引き上げるような、SaaSの導入をぜひご検討ください。
よくある質問(FAQ)
SaaSモデルを採用するビジネスの最大の利点は何ですか?
SaaSモデルの最大の利点は、コスト効率性と柔軟性です。従来のソフトウェアを購入・インストールする方法と比べ、SaaSは必要に応じてスケールアップやダウンが容易で、アップデートも自動的に行われるため、常に最新の機能を利用できます。
SaaSのビジネスモデルでは、どのようにして収益を上げることができますか?
SaaSのビジネスモデルでは、定期的なサブスクリプション料金を基盤として収益を上げます。顧客は継続的にサービスを利用することで、企業は安定した収益を得ることができます。また、追加機能やサービスを提供することで、収益の拡大も期待できます。
SaaS製品を市場に投入する際の主な課題は何ですか?
SaaS製品を市場に投入する際の主な課題は、競合との差別化、セキュリティ対策、顧客の信頼獲得、そしてSEO戦略の実行です。多くのSaaSサービスが存在する中で、独自の価値提案をしっかりと伝えることはもちろん、検索エンジンでの高い可視性を確保するためのSEO対策も非常に重要です。
エディター
Eri Pinar による – ウェブ開発、マーケティング、オンライン、SEO。副著者 – Aoyama & Miura。